身に覚えのない広告、利用者、請求を見つけたら、通常の運用ミスとして処理せず、セキュリティ事故の可能性を含めて対応します。慌てて広告や利用者をすべて削除すると、何が起きたか確認するための履歴まで失うおそれがあります。
初動の目的は、返金可否を決めることではありません。対象と時刻を記録し、被害の拡大を抑え、媒体の正規サポートと権限者へ安全に引き継ぐことです。
身に覚えのない対象を一つの記録へ集める
最初に、不明な広告・キャンペーン、請求、利用者、支払方法、連携先、通知を分けて記録します。発見時刻、対象期間、表示されている金額、配信状態、直近の変更履歴、確認した担当者も残します。
ここでは個人情報や支払い情報そのものを広い共有先へ貼りません。社内の限定された事故記録へ保存し、共有版には識別に必要な範囲だけを載せます。画面を保存する場合も、メールアドレスや決済情報が不要に写らないようにします。
通常施策との見分けがつかない場合は、運用担当へ変更予定を確認します。ただし確認が取れるまで放置せず、不明な変更として時刻と状態を固定します。確認できない事実を「不正確定」や「問題なし」に置き換えません。
証拠を失う変更は保留し権限者へ連絡する
広告の削除、変更履歴を消してしまう操作、支払方法の公開、認証情報の共有は避けます。自分に必要な権限がない場合は、無理に設定を変えず、アカウント管理者とセキュリティ担当へ引き継ぎます。
一方で、被害拡大の防止に必要な操作を誰が行うかは明確にします。対象広告の停止、利用者の制限、支払方法の保護などは、現状を記録し、復元方法と担当者を決めたうえで、媒体の案内と社内手順に従います。すべてを一律に削除する手順にはしません。
Googleの公式案内では、広告や請求に不審な動きがある場合はGoogle広告チームへ調査を依頼し、アカウント復旧手順を進めるよう案内しています。2026年9月8日時点で、調査結果によって対応や補償可否が決まるため、社内担当者が返金を約束しないことも重要です。
正規サポートとアカウント復旧を並行する
媒体への連絡は、管理画面や公式ヘルプからたどれる正規窓口を使います。検索結果の広告、突然届いた電話やメール、第三者のチャットへ、パスワード、確認コード、支払情報を渡しません。
問い合わせには、アカウントを識別できる情報、発見時刻、不明な広告や請求の範囲、確認済みの変更履歴を整理します。送る情報は窓口が要求するものに限定し、社内メモ全体をそのまま送らないようにします。
復旧作業では、ログインできるGoogleアカウントなど基盤側の安全確認も必要です。パスワード変更、二要素認証、復旧用情報、見覚えのない端末やアプリ連携を確認します。ただし、自分が管理者ではないアカウントの設定を勝手に変えず、所有者と担当範囲を確認します。
利用者・権限・連携先を順番に棚卸しする
管理に関わる利用者を一覧にし、在籍状況、担当業務、現在の権限、最終確認日を並べます。不明な利用者や退任者だけでなく、必要以上の管理権限が残っていないかも確認します。
代理店や外部担当者との共有方法を見直す場合は、広告アカウントを自社で所有する理由も参考になります。契約変更時に誰がアクセスを維持できるかを整理できます。
利用者の次に、関連する管理アカウント、外部ツール、API連携、通知先、支払方法を確認します。パスワードを変えても、不明な連携や広すぎる権限が残れば再発防止になりません。停止や解除の前には、業務上必要な連携か、誰が所有しているか、戻し方があるかを確認します。
復旧後は追加変更と請求を継続確認する
一度アクセスを取り戻しても、対応完了とは限りません。広告、利用者、支払方法、連携先、通知設定を再確認し、新しい不審な変更がないか追跡します。媒体サポートの受付番号や回答、社内で行った操作、確認時刻を同じ記録にまとめます。
復旧中に通常の運用変更を行うと、不正変更との区別が難しくなります。緊急対応と通常施策の記録を分け、再開の責任者が確認するまでは、新しい入稿や権限追加を保留します。
確認する期間は一律に決めず、媒体の調査状況、請求確定の時点、社内の決済確認日に合わせます。未確定の請求は未確定として残し、取得できない情報を0円や解決済みにしません。
日常運用へ戻す前に、共有範囲を広告運用チームの役割分担と照らします。広告編集、請求確認、利用者管理を同じ権限で持たせる必要があるかを見直せます。
最初に行うべきことは、不正利用の原因を推測することではありません。見覚えのない対象と時刻を記録し、証拠を保ち、正規サポートと権限者へ引き継ぐことです。その後に利用者・権限・支払い・連携を順番に確認すれば、被害確認と再発防止を混同せず進められます。