広告運用の契約変更や担当交代で支払い方法を引き継ぐとき、カード番号を運用担当者へ送ることから始めてはいけません。機密情報が広がるだけでなく、誰が支払い責任を持ち、誰が登録結果を確認したのか分からなくなるためです。

支払いの引き継ぎでは、登録作業と運用作業を分けます。権限を持つ支払い責任者が媒体の正規画面で情報を入力し、運用担当者は対象アカウント、完了状態、配信への影響を確認します。本稿ではカード番号そのものを共有せずに、引き継ぎを完了させる確認順を整理します。

最初に支払いの現状を一枚へ整理する

引き継ぎ表には、対象媒体、対象アカウント、請求先、支払いプロファイル、現在の支払い設定、主な支払い方法、請求通知の受取担当を並べます。カード番号、有効期限、確認コードなどの機密値は記録しません。

「代理店が払っている」「自社カードへ変える」という言葉だけでは足りません。請求書を受け取る組織、媒体上の支払いプロファイルを管理する人、広告費を承認する人、配信停止時に確認する人を分けます。対象アカウントを取り違えないよう、管理画面上の名称と請求先も権限者が照合します。

支払いだけでなくアカウントの管理主体が曖昧な場合は、広告アカウントを自社で所有する理由を先に確認してください。所有、利用、請求の役割を一つの「名義」でまとめないことが重要です。

登録者と確認者を分ける

一覧を作ったら、「登録する人」「登録結果を確認する人」「配信後の請求を確認する人」を割り当てます。登録者は、組織内で支払い責任を持ち、必要な請求権限を付与された人です。代理店が日々の運用を担当していても、支払い情報を受け取る必要があるとは限りません。

2026年9月10日にGoogle広告の公式ヘルプを確認したところ、支払い設定の変更は、お支払いプロファイルの管理者・編集権限、または広告アカウントの管理者・請求権限など、所定の権限を持つ利用者に限られます。利用できる支払い方法や設定は、請求先の国・地域、通貨、アカウント条件で異なります。

支払い以外のアクセス範囲も同時に変わるなら、先に広告アカウントの権限付与と引き継ぎで作業権限を整理してください。支払い登録のためだけに共有ログインを作ったり、全員を管理者へ上げたりしません。

正規画面で入力し完了状態を読み合わせる

登録者は、自分で開いた媒体の正規管理画面から支払い情報を入力します。カード情報をメール、通常のチャット、議事録、画面共有の録画へ残しません。運用担当者が支援する場合も、操作場所と確認項目を案内する範囲に留めます。

入力後は「登録しました」という連絡だけで完了にしません。正しい請求先または支払いプロファイルに紐づいているか、主な支払い方法として有効か、審査中・保留・拒否の表示がないかを登録者と確認者で読み合わせます。予備の支払い方法を使うかは、媒体の提供条件と組織の決済方針を確認して決めます。

媒体ごとに画面名称と管理単位は変わります。以前の手順書に書かれたボタン名を探すより、現在の公式ヘルプと実画面で「誰が」「どの請求先へ」「何を登録したか」を確かめます。

条件が不明なときは登録を保留する

現在の請求先、通貨、契約、支払い設定が確認できない場合は、以前のアカウントと同じ方法が使えると決めつけず登録を保留します。権限不足の表示が出た場合も、すぐ全権限を求めず、必要な操作と承認者を確認します。

カード名義と請求先の関係、本人確認、利用可能な支払い方法が不明なときは、対象アカウントの表示と公式サポートで確認します。別アカウントへ試しに登録したり、他社の設定を流用したりしません。

本人確認を避ける方法や、カード番号をチャットで送る方法を求められた場合も作業を止め、媒体の正規手順と組織の管理者へ戻します。不正利用の疑いがある請求は通常の引き継ぎと混ぜず、広告アカウントの不正利用を疑ったときの初動に沿って証拠保全と正規窓口への連絡を優先します。

登録後の配信と請求を確認する

登録後は、支払い方法が表示されたこと、保留や拒否がないこと、広告の配信状態、最初の請求通知を確認します。入力が完了しても、媒体側の確認や決済処理が終わっていない場合があるためです。

記録には、登録日、登録担当、確認担当、表示状態、対象アカウント、次回確認日だけを残します。カード番号や認証情報は残しません。配信が止まっている場合は、支払いが原因か、審査・予算・日程など別の原因かを分けて確認します。

引き継ぎ完了後は、旧担当者の支払い権限や個人カードを残す必要があるかを管理者へ確認します。不要と判断された権限を外した後も、請求先、主な支払い方法、通知先が意図どおりかを再照合します。

支払い方法の引き継ぎは、カード情報を受け渡す作業ではありません。責任者が正規画面で登録し、別の担当者が完了状態を確かめ、配信と請求を追跡できる状態を作ることが完了条件です。