「広告代理店からレポートは届くものの、広告運用で何をしているかわからない」
「調整しましたと言われても、何を見て、なぜ変更したのか判断できない」
広告運用を外部へ任せていると、このような状態になることがあります。
結論からいうと、広告運用の実態は、管理画面を触った回数だけでは判断できません。確認すべきなのは、何を見て、何を判断し、何を変更したのか、その結果がどうなったのかという一連の記録です。
この記事では、私が広告運用を見るときの基準をもとに、実際の運用業務と、代理店へ任せている広告を監査する方法を公開します。
広告運用は、作業量より判断の履歴を見る
広告運用は、毎日設定を変更すればよい仕事ではありません。
成果が出ている配信を、作業実績を作るためだけに変更すると、かえって状態を崩す可能性があります。良い状態のものは維持し、さらに良くできる根拠がある場合に変更することが基本です。
そのため、次の4点が追える状態になっているかを確認します。
- どの数値や状況を確認したか
- なぜ変更する、または変更しないと判断したか
- 実際に何を変更したか
- 変更後の結果をいつ、どのように確認するか
「今週も調整しました」という報告だけでは、運用内容を監査できません。一方、変更がなかった週でも、その理由と監視状況が説明されていれば、運用判断を確認できます。
広告運用で実際にしていること
広告運用代行には、戦略立案から日々の確認、改善施策の実施、報告までが含まれます。
Liberateの運用代行では、次の業務を基準にしています。
| 実務 | 具体的にすること | 基準となる頻度 |
|---|---|---|
| 戦略設計 | 広告の目的、誰に届けるか、どのように配信するかを整理する | 開始時・方針見直し時 |
| 運用設定 | 決めた戦略を広告媒体上の設定へ反映する | 開始時・施策追加時 |
| 予算確認 | 配信状況と日予算を確認し、必要性を判断する | 毎日 |
| キーワード調整 | 検索広告のキーワードや配信状況を確認する | 週2回 |
| クリエイティブ調整 | 広告文、画像、動画などの状態を確認する | 週1回 |
| 改善施策 | 課題に応じた施策を提案し、実施する | 必要に応じて |
| チャット報告 | 数値、課題、施策、次回確認事項を共有する | 週1回 |
| オンライン面談 | 状況や方針をまとめて確認する | 2週間に1回 |
ここで注意したいのは、確認頻度と変更頻度は別ということです。
日予算を毎日確認していても、毎日変更するとは限りません。キーワードやクリエイティブについても、状態を確認した結果、維持が適切であれば変更しない判断をします。
大切なのは、「変更したか」だけではなく、「確認したうえで、なぜその判断をしたか」が残っていることです。
戦略設計では3つの項目を決める
広告側で直接調整できる中心的な項目は、次の3つです。
- 何を目的として配信するか
- 誰に配信するか
- どのように配信するか
たとえば成果が伸び悩んでいる場合、対象となる年齢層やオーディエンス、配信方法、広告の訴求などを確認します。
一方で、広告成果には広告以外の要因も影響します。
| 広告側で調整できること | 広告だけでは直接変えられないこと |
|---|---|
| 配信目的 | 開催日時や曜日 |
| 配信対象 | 天候 |
| 配信方法 | 店頭や商談時の接客状況 |
| 年齢層やオーディエンス | 市場や地域の状況 |
| 広告文やクリエイティブ | 広告クリック後の営業対応 |
天候や現場状況も成果分析には必要ですが、それだけを理由にして広告側の改善を止めるべきではありません。
良い報告では、広告で動かせる要因と、事業全体で確認すべきマーケティング要因が分けて書かれています。この切り分けがあると、誰が何を確認するのかが明確になります。
変更しないことも広告運用です
運用会社の仕事が見えないと、「もっと設定を変えてほしい」と考えやすくなります。
しかし、すでに成果につながっている広告や導線を、明確な理由なく変更する必要はありません。変更は、良い状態をさらに良くするための根拠があるときに行います。
次のような説明があれば、変更しない判断も監査できます。
- 現在どの配信や導線が機能しているか
- 維持した方がよいと判断した理由
- 今後どの数値が変わったら見直すか
- 改善する場合、何を良くするための変更なのか
反対に、成果が出ていないにもかかわらず、確認や改善案がない場合は注意が必要です。
「変えない判断」と「放置」は異なります。判断根拠と次回確認事項が残っているかで見分けられます。
週次報告で確認したい9項目
広告運用をブラックボックスにしないためには、週次報告を単発の数値連絡で終わらせないことが重要です。
少なくとも、次の項目が確認できる状態にします。
- 対象期間と広告媒体
- 広告使用額
- 広告管理画面上のCPAとCV
- 事業側で確認できた実CPAと実CV
- 前週からの変化
- 今週の主要課題
- 実施した施策
- 施策結果と次回確認事項
- 運用会社からの確認事項と、その回答
広告管理画面で計測されたCVと、実際の問い合わせや成果として確認できたCVは、混同せずに分けて見ます。
また、施策結果は「改善」「悪化」「横ばい」「確認中」のように状態を明らかにします。まだ判断できない場合は、無理に成果を断定せず、確認中として次回の確認項目に残します。
翌週の報告では、前回実施した施策がどうなったのかを振り返ります。施策の実施だけが記録され、結果が確認されない状態では、運用ナレッジが蓄積されません。
報告の確認場所と通知先も決める
報告内容が毎回異なるチャットやファイルへ分散すると、過去の施策を追いにくくなります。
私たちは、先方へ送る報告文の全文、主要数値、改善施策、関連URL、次回確認事項を共有ページへ保存し、そのページのURLを通知する形を基本にしています。
運用会社へ任せる場合も、次の2点を決めておくと確認が簡単です。
- 報告全文を蓄積する場所
- 更新されたことを知らせる通知先
通知メッセージの要約だけではなく、報告全文へ戻れるURLがあることが重要です。これにより、前回の施策と今回の結果を時系列で確認できます。
広告代理店を監査するチェックリスト
現在依頼している代理店について、次の項目を確認してみてください。
- 運用範囲と確認頻度が明文化されている
- 何を変更したのか説明されている
- 変更または維持を判断した理由が書かれている
- 前週と比較した変化を確認できる
- 管理画面上のCVと実CVが分けられている
- 前回施策の結果が翌週以降に確認されている
- 広告要因とマーケティング要因が分けられている
- 次回確認する項目が残されている
- 報告全文の保存場所と通知先が決まっている
一つ該当しないだけで、運用に問題があるとは限りません。
ただし、「前回施策の結果」「判断理由」「次回確認事項」が長期間見えない場合は、広告運用がブラックボックス化している可能性があります。
注意したい報告の特徴
次のような報告が続く場合は、運用会社へ具体的な確認をした方がよい状態です。
数値だけが送られてくる
現在の数値だけでは、改善しているのか悪化しているのかを判断できません。前週比較と変化の理由を確認します。
毎週施策はあるが、結果が振り返られない
新しい施策を続けていても、前回の結果が確認されていなければ、何が有効だったのか分かりません。
外部要因だけで説明される
天候や市場環境は重要ですが、広告側で調整できる目的、対象、配信方法についても確認が必要です。
理由なく設定が変更される
成果が出ている配信まで頻繁に変更すると、何が成果につながったのか追いにくくなります。変更目的と確認方法を聞きます。
通知だけで報告全文が残らない
チャットの短い要約だけでは、過去の判断を振り返れません。報告全文を蓄積する場所を決めます。
まず運用会社へ確認したい5つの質問
何をしているかわからない場合は、抽象的に「もっと詳しく教えてください」と伝えるより、次の5つを確認する方が具体的です。
- 日次、週次、隔週でそれぞれ何を確認していますか
- 今週、変更した項目とその理由は何ですか
- 変更しなかった項目と、その判断理由は何ですか
- 前回実施した施策の結果はどうなりましたか
- 報告全文はどこで確認でき、更新通知はどこへ届きますか
この回答が毎週同じ形式で蓄積されれば、広告運用の状況を社内でも判断しやすくなります。
広告運用を内製化する場合にも使える考え方
この確認方法は、代理店の監査だけでなく、広告運用を自社で行う場合にも使えます。
担当者が何をしたかではなく、次の流れを共通ルールにします。
- 数値と状況を確認する
- 広告要因とマーケティング要因を分ける
- 今週の主要課題を一つに絞る
- 実施する施策と判断理由を残す
- 次回、施策結果を判定する
この流れがあれば、担当者が変わっても、過去の判断と学びを引き継ぎやすくなります。
代理店への依頼を続けるか、内製化へ切り替えるか検討している方は、広告代理店の手数料と依頼範囲を見直す考え方もあわせてご覧ください。
よくある質問
広告代理店は毎日何をしていますか?
日予算や配信状況を確認し、必要性を判断します。検索広告のキーワードやクリエイティブは、別途決めた頻度で確認・調整します。毎日すべての設定を変更するわけではありません。
週次レポートが届いていれば十分ですか?
頻度だけでは判断できません。前週からの変化、主要課題、実施施策、前回施策の結果、次回確認事項まで記載されているかを確認します。
設定変更がない週は、運用していないということですか?
必ずしもそうではありません。成果が出ている配信を維持する判断も広告運用です。ただし、確認した内容、維持する理由、次回の見直し条件が説明されている必要があります。
広告成果が悪い原因は、すべて代理店にありますか?
広告以外に、時期、天候、市場、接客などが影響することもあります。広告側で調整できる要因と、事業全体で確認する要因を分けて判断することが重要です。
まとめ
広告運用で何をしているかわからないときは、作業回数だけを確認するのではなく、判断の履歴を見ます。
- 何を確認したか
- なぜ変更または維持したか
- 何を実施したか
- 結果がどうなったか
- 次に何を確認するか
この5点が週次でつながっていれば、広告運用の中身を確認できます。
現在の運用範囲や報告方法を整理し、代理店へ任せ続けるか、社内で判断できる体制へ移行するか検討したい方は、お問い合わせフォームからご相談ください。