広告レポートを受け取っても、数字が多くて「結局、良いのか悪いのかわからない」と感じることがあります。

表示回数、クリック率、クリック単価、コンバージョン数などを上から順番に眺めても、事業にとって必要な判断にはつながりません。大切なのは、指標の数を増やすことではなく、確認する順番を決めることです。

私が広告レポートを確認するときは、次の順番で見ています。

  1. 実際の予約・問い合わせ・売上
  2. 広告使用額と予算消化率
  3. 管理画面と実数のCV・CPA
  4. クリック率・クリック単価と内訳
  5. 前回施策の結果と次の施策

この記事では、この確認順と、毎週の判断に使える週次報告テンプレートを公開します。

1. 最初に実予約・問い合わせ・売上を見る

最初に見るのは広告管理画面ではありません。事業側で確認できる実際の成果です。

店舗や予約型の事業であれば実予約数、問い合わせ型の事業であれば有効な問い合わせ数を確認します。売上まで確認できる場合は、売上や成約状況も並べます。

最初に確認する項目 確認する内容
実問い合わせ数 実際に受け付けた問い合わせの件数
実予約数 予約台帳などで確認できた予約の件数
売上・成約状況 広告経由の成果として確認できた売上や成約
確認中の成果 まだ確定していない問い合わせや予約

広告管理画面の数字が改善していても、実際の予約や売上が増えていなければ、事業成果が改善したとは断定できません。

反対に、管理画面上の数字だけでは把握できていない成果が事業側に存在する可能性もあります。そのため、まず実数を確認し、その後に管理画面の数字と照合します。

売上や成約がまだ確定していない場合は、推測で補わず「確認中」として次回の確認事項に残します。

2. 広告費と予算消化率を確認する

実際の成果を確認したら、次に広告使用額を見ます。

ここで広告費の金額だけを見るのではなく、計画に対してどの程度使えているかを確認します。

予算消化率は、次のように計算できます。

予算消化率 = 実際の広告使用額 ÷ その時点までの予定広告費 × 100

月間予算に対する消化率だけでは、現在の進み方が適切か判断しにくいことがあります。そのため、報告対象日までに使う予定だった広告費と、実際の広告使用額を比較します。

予算を十分に消化できていない場合、配信量そのものが少なくなります。配信量が減れば、コンバージョン数や獲得単価にも影響するため、CPAだけを見て調整しても原因を見誤る可能性があります。

レポートには、少なくとも次の3点を並べます。

  • 対象期間の広告使用額
  • 対象期間までの予定広告費
  • 予定に対する予算消化率

予定より少ない、予定どおり、予定より多い、のどれに当たるかを確認し、差がある場合は理由と対応を記載します。

3. 管理画面CVと実予約を分けて確認する

広告レポートで特に混同しやすいのが、管理画面のコンバージョンと実際の予約です。

両者は同じとは限りません。

指標 何を表すか 主な役割
管理画面CV 広告媒体で設定したコンバージョン条件が記録された件数 広告配信の状況を確認する
実予約・実問い合わせ 事業側で実際に確認できた予約や問い合わせ 事業成果を判断する
管理画面CPA 広告費を管理画面CVで割った獲得単価 媒体内の変化を比較する
実CPA 広告費を実予約数や実問い合わせ数で割った獲得単価 実際の事業成果を判断する

管理画面CVには、報告で使う予約完了のコンバージョンとは異なる定義の数値が含まれていることがあります。日次アラートと週次報告で参照しているCVの定義が違う場合もあるため、数字だけをそのまま転記してはいけません。

管理画面CVと実予約数に差があるときは、すぐに「計測ミス」や「成果悪化」と決めつけず、次の項目をそろえます。

  • 集計している期間
  • 対象にしているコンバージョンの定義
  • 予約・問い合わせとして数える条件
  • 未確認または確認中の成果

定義をそろえたうえで、管理画面と実数の両方を毎週記録すると、広告の変化と事業成果の変化を分けて判断できます。

4. CVとCPAは広告費のあとに見る

実数と予算の状況を確認してから、コンバージョン数と獲得単価を見ます。

ここで確認したいのは、単にCPAが上がったか下がったかではありません。

  • 管理画面CVはどのように変化したか
  • 実予約・実問い合わせはどのように変化したか
  • 広告使用額は計画どおりか
  • 管理画面CPAと実CPAの両方を確認できるか

たとえば、CPAが良く見えても、広告費を十分に使えておらず、必要な予約数を確保できていない場合があります。反対に、CPAが一時的に上がっていても、必要な配信量や実予約数を維持できている場合があります。

前週比で数字が下がったという理由だけで、すぐに悪化と表現する必要はありません。予算、件数、実成果を合わせて確認し、安定しているのか、対応が必要なのかを判断します。

5. CTR・CPCと内訳で変化点を絞り込む

実成果、予算、CV、CPAを確認したあとで、クリック率(CTR)とクリック単価(CPC)を見ます。

  • クリック率(CTR):広告が表示された中で、クリックされた割合
  • クリック単価(CPC):1回のクリックを得るためにかかった平均広告費

CTRやCPCは、それ自体が最終的な事業成果ではありません。実予約やCPAが変化したときに、どの段階から変化しているのかを調べるための補助指標です。

全体の平均値だけで判断できない場合は、広告管理画面で取得できる切り口に分けて比較します。どの部分で変化が起きているかを確認してから、原因と次の施策を考えます。

私たちの週次報告では、前週比で大きな変化が出た場合、内訳を比較して根拠を確認してから原因を書きます。データで確認できていない原因は断定せず、仮説または確認中として扱います。

6. 前回施策の結果と次の行動をつなげる

広告レポートは、数字を並べただけでは意思決定に使えません。

最後に、前回実施した施策がどうなったのかを確認し、次の行動まで決めます。

確認する順番は次のとおりです。

  1. 前回、何を変更したか
  2. 変更後、どの指標がどう動いたか
  3. 結果を「改善・悪化・横ばい・確認中」のどれにするか
  4. 継続する施策と変更する施策を分ける
  5. 次回、何を確認するか決める

改善した場合も、施策が原因だと確認できない段階で断定はしません。どの施策がどの数字に効いた可能性があるのかを、確認できたデータと分けて記載します。

悪化した場合は、原因を広げすぎず、今週の主要課題と次に実施する作業を絞ります。横ばいの場合も、すべてを継続するのではなく、維持する部分と切り替える部分を分けます。

まだ結果を判断できない施策は「確認中」とし、翌週以降に必ず再確認します。

そのまま使える週次報告テンプレート

週次報告は、次の形にすると数字と施策の関係を追いやすくなります。

【週次広告レポート:対象日】

■ 対象期間
開始日〜終了日

■ 1. 実際の事業成果
・実問い合わせ数:
・実予約数:
・売上・成約状況:
・確認中の成果:

■ 2. 広告費と予算進捗
・広告使用額:
・対象日までの予定広告費:
・予算消化率:
・予定との差と理由:

■ 3. 管理画面と実数
・管理画面CV:
・管理画面CPA:
・実CV:
・実CPA:
・数値定義または集計期間の差:

■ 4. 変化の確認
・クリック率:
・クリック単価:
・変化が確認できた内訳:
・現時点で確認できている原因:
・確認中の項目:

■ 5. 前回施策の結果
・前回実施した施策:
・結果:改善/悪化/横ばい/確認中
・判断の根拠:

■ 6. 次回までの対応
・継続する施策:
・新たに実施する施策:
・次回確認する項目:

このテンプレートの目的は、毎週きれいな文章を書くことではありません。前回の施策と今回の結果を残し、次の判断につなげることです。

確定した報告には、主要数値、課題、実施施策、施策結果、次回確認事項を残します。翌週は前回の記録から確認を始めることで、同じ分析を繰り返さずに済みます。

わかりにくい広告レポートの特徴

次のようなレポートは、数字が多くても判断しにくい状態です。

管理画面の数字しか載っていない

実予約や実問い合わせがなければ、事業成果とのつながりを判断できません。

広告使用額はあるが予算消化率がない

予定に対して配信量が足りているか判断できず、CVやCPAの変化を正しく読み取りにくくなります。

専門用語だけで説明されている

CTR、CPC、CV、CPAを並べるだけでは、広告に詳しくない担当者が次の判断をできません。顧客向けの報告では「クリック率」「クリック単価」「予約・問い合わせ」「獲得単価」と併記します。

原因がデータより先に書かれている

内訳を確認せずに原因を決めつけると、必要のない修正につながります。確認できた事実、原因の仮説、確認中の項目を分けます。

次に何をするか決まっていない

成果報告だけで終わらせず、次回までの作業と確認項目まで記載します。

レポートから運用内容まで確認する

広告レポートを読めるようになると、「広告運用を任せているが、具体的に何をしているのかわからない」という状態も減らせます。

毎週の作業内容を整理したい場合は、広告運用では何をしているのかを解説した記事もあわせてご覧ください。

代理店から届く報告内容と支援範囲が見合っているか確認したい場合は、広告代理店の手数料を総コストで判断する方法で比較軸を整理できます。

まとめ

広告レポートの見方がわからないときは、次の順番で確認します。

  1. 実際の予約・問い合わせ・売上
  2. 広告使用額と予算消化率
  3. 管理画面と実数のCV・CPA
  4. クリック率・クリック単価と内訳
  5. 前回施策の結果と次の施策

広告管理画面の数値は、広告の状態を知るために必要です。ただし、実予約や売上と混同すると、事業としての判断を誤る可能性があります。

管理画面と実数を分け、予算進捗を確認し、前回施策の結果を次の行動につなげることが、判断に使える広告レポートの基本です。

現在の広告レポートを見ても判断できない、管理画面CVと実予約の差を整理したい、社内で確認できる報告形式を作りたい場合は、お問い合わせページからご相談ください。